記録

幻覚を記録する。

2021年まとめ

2021/6/24 20:55更新

 

※まとめて書くと辛いのでちょっとずつ書いてます。

※ただの個人の感想なんだから何物にも囚われない、忖度しない、を目標に書いています。

 

1.The Bridge 〜歌の架け橋〜 (劇団四季)

高橋知伽江さんの構成の才能がヤバい。

コロナ禍において、ハングリーキャッツや初期に上演されたストプレの台詞を朗読する意味の重さよ。

劇団の歴史を、演劇の価値を背負っていくのだ、という心意気を感じた。

鈴本さんの異国の丘朗読が物凄かったので是非本編をやってほしい。

 

2.ラヴ・ミー・ドゥー‼︎ (梅棒)

推しの話。とても真面目な推しの話だった。

故に、まともに人を推すことができない、コンテンツの消費者にしかなれない自分がいかに近年のオタク像から外れているのかということを真面目に考えてしまい、熱中できない部分があった。

だからこそ、そういう関係性じゃないカラーギャング達というか、兄妹愛(観劇中はずっやとヤンキーカップルだと思っていてプログラムを読んだら兄妹だった)がめちゃくちゃ刺さってしまった。妹のためなら何をするにも躊躇しない兄と、ただ無邪気なだけだった妹と。でも妹は成長して、絶対やっちゃいけないことがあるということが分かって。そして兄はまだ分かっていないような気もして。これから成長するんだろうか。愛に見せかけた毒とかではなくて、狂ってはいるんだけどマジの愛だということだけは分かってなんだかめちゃくちゃ泣いてしまった。取り返しのつかないようなことにならずに、お互いのことがずっと大好きなまま生きていってほしい。どういう感想。

 

3.Fight For F (dynamize)

個別で記事を書きましたのでそちらで。

私が求めていた作劇の天才がここに現れました。

 

4.おしゃれ紳士×梅棒presents『The Story seen from the balcony オシャレ紳士と梅棒のベランダカラミルセカイ』(dynamize)

タイトル長い。

個別で記事を書きましたのでそちらで。

演劇の意味とは。まさにこの時見たかった作品でした。

 

5.アナと雪の女王 (劇団四季)

映画の1がなんであのラストに落ち着くのか全く分からなかった。なぜなら吹き替え版の「ありのままで」の訳からはエルサがとてもスッキリして完全に振り切っているように読み取れたから。2を見たときの感想はそらそうよだった。

今回舞台版を見て、尺が伸びて曲が追加されたことで、エルサの心情がめちゃくちゃクリアになった。4年越しに「エルサはただアナと一緒にいたかった」ということが理解できた。その望みを叶えるための1のラストだったんだと。そしてやはり最終的には2に至らなければいけなかったのだと。あとレリゴーの訳も要所要所が変わっていてすごく腑に落ちるようになってる。ここまで分かるようになるとは思わなかったので正直驚いた。鐘に続き、良い舞台化なのでは。

あとBWのレリゴーで手袋とマントが超高速で吹っ飛んでいくのが面白すぎて何度も繰り返し見ては爆笑してたけど、四季版はすごく情緒的に飛んで行って感動。すごい。いい仕事してる。

竹内オーケンが全てを破壊した。ヒュッゲ。

おしゃれ紳士×梅棒 presents『The Story seen from the balcony オシャレ紳士と梅棒のベランダカラミルセカイ』(dynamize)

【会場】あうるすぽっと

【上演時間】1時間50分

 

FGO feat.夢から醒めた夢 エヴァ風味みたいな。あと近年のおしゃれ紳士の「何者にもなれない側」へのフォーカスには幾原邦彦味も感じる。あと独白の演出の美しさも。

いまこのときに必要すぎる作品でした。

前回の『ソラノカナタノセカイ』はだいぶ文学的というか、メタな目線やSFな設定が物凄く美しくて、泥臭いかつ圧倒的な美で、西川さんマジで天才だなと思ったんですけど、今回のこれは本当にメッセージ性がバシバシで、でもメタがめちゃくちゃ効いてて言葉選びが美しくて、やっぱり西川さん天才だなと思いました。

 

下手の最前列で見てたんですけど、最後の問答の今人さんが凄くて。そんなものに意味はないと声を張るこいつの心の奥深くに、人間(演劇)を信じたいという気持ちが隠れているんじゃないかというのが見えて。世界への解釈が人間への愛を歪めてしまっているというか。遠藤周作の沈黙みたいなね。でもそこで人間を否定すればするほど信じたいという気持ちが強調されるという。辛かったんだなぁ。だから言葉が出るのを待ってたんだよなぁ。人類愛を持っているからこそビーストなんですよね。

 

そして人類代表の回答。井内さんの佇まいの優しさが既に沁みる。演劇の可能性を語るだけでなく「大体の人はみんなが幸せになれたらいいなと思ってる」という話までしたところが、まさに今この物語を世に出す必要があった理由だと思っていて。そうなんだよね。ほとんどの人は思ってるんですよ。みんなが幸せになれたらいいなって。こんな状況だと忘れがちだけど、そうなんだよ。言ってくれてありがとう。うしおととらの何の役をやりたかったのかめちゃくちゃ気になる。流かな。

 

今回一発勝負だったのであんまり細かい記憶がありませんが、カナリアの西川さんが凄い楽しそうにパフォーマンスしてるとか、やっぱりおしゃ梅での天野さんが世界で一番かわいいとか、ジャンヌをあのキャラに設定した人天才とか、菊地さんが最初から最後まで圧倒的に元気とか、遠山さんの仕込み杖会長がマジでヤクザ漫画に出てきそうとか、天然で雑に強い沖田総司がめちゃくちゃ良いとか、未確認飛行物体な少女の犬がまた見られて嬉しいとか、武蔵ちゃんがおっさん!?(普通そう)と思ってたらだんだん可愛く見えてくるしちょっとオリュンポスとか、名乗ってくれた三人以外が何のサーヴァントなのかさっぱり分からなくて夜も眠れないとか、井内さんがブルマだと最初からみんな知っている客席の空気とか、相変わらず情報量の多さが最高でした。

またおしゃ梅が見たい。だから絶対みんなで生き残りたい。演劇は観客がいなければ存在すらできないものだから。演劇にいつかは絶対に来ないから。

 

あとうしおととらを読んだことない方、読んでください。アニメはアマプラでも配信してるので、まずはそっちを見るのもおすすめです。

Fight For F(dynamize)

【会場】あうるすぽっと

【上演時間】1時間45分

 

梅棒の遠山さん作演の初長編。

去年梅キャラメルの短編を見てこんなもんなのか?と思っていた私の度肝を抜く、とんでもない作品でした。

 

いや、凄いよ。これ。

観劇後感が四季のノートルダムとか、JCSとかと同じだもん。この二作品は私が四季の中でもぶっちぎりで好きな作品です。

つかこうへい作品とも似てるけど、上記の作品の方が近いのは役者と演出が洗練されているから。

舞台上から投げつけられたものが大きすぎて、重すぎて、カテコで立ち上がれない。

立ち上がれないけど、なんとかこの気持ちを伝えなきゃいけないから必死に拍手する。

この立てない感覚、久しぶりに味わった。

演劇ってこれだよ、というのを、まさかノンバーバル作品で味わうとは。

 

まずコメミュダンサーという名の、アンサンブルあるいはコロスの使い方のうまさ。

上記の作品との共通点でもあるんだけど、やはりこれが上手いと作品の奥行きが半端なくなる。

もうコメミュダンサーの一人一人が、ダンスがはちゃめちゃに上手いのは当たり前という顔をして、全員で場面場面のニュアンスまで完璧に揃え、しかも芝居をしている。

いや、役者じゃん、もう。

ダンスがはちゃめちゃにできるというとんでもないスキルを持った役者じゃん。半端ない。

 

全員そんなヤバい人達なのに、その中でも一層役者をしてるYOUさんがマジでヤバい。

表情だけでそんなに語られたら、言葉を使う俳優はどんだけ語らなければいけないんだ。

梅棒公演のとき以上にヤバさを見せつけられた。

 

メインキャスト陣。梅棒公演と違ってあんまり踊らない。なぜならコメミュダンサーがいるから。

じゃあ一体何をするのかというと、やっぱりこっちも芝居をしている。物凄い芝居をしている。カリカチュアライズされてない、人間の弱さと駄目さをそのまま出している。

ここまで滲み出せるの、凄くないですか。

派手なアクションも、声を張ることもなく、ただただリアルにその場にいて、生活している。

それを演劇的に補うコメミュダンサーと合わせると、もうね、伝わってくる感情の量がヤバい。

 

阿部さんのお父さん、梅キャラメルのときよりも今回の方がずっと印象に残った。現実を超えたリアルだった。

鶴野さん、レフェリーだしOMGのひこひこさんか?と思ったらだいぶウチパパの遠山さんだった。つるとしょを見せつけられた。

 

振り付けは梅棒公演の中でイレギュラー的に出てくるとにかくめちゃくちゃ格好いい振りがレギュラーで使われている感じでもう皆さんの技術レベルと合わせて最高。

M1が格好良すぎて震える。でもこのナンバーが作品全体の雰囲気を象徴している訳ではなくて混乱。

 

そして脚本。梅棒じゃ絶対できないやつ。

演出的にはコメミュダンサーの使い方もあって大規模な感じがするんだけど、すごく小さくて個人的な話。家族の話だし。重い。

現代の貧困家庭に起こりうる悲劇が詰め込まれた地獄。

でもそんな地獄に差し込むか細い光を頼りにハッピーエンドに辿り着く奇跡。

現実としてある大きな社会問題を、果たしてフィクションとして、そして奇跡としか呼べないレベルの安易すぎるハッピーエンドで消費していいのかという考え方もあるんだけれども、私はそんな物語があってもいいと思っている。

演劇は、観客の想像力を刺激し、羽ばたかせるものであって、お説教ではないと思っている。

多分この作品を多くの見た人たちは、客席にいるだけなのに息が詰まった。心臓が冷え切る瞬間を体験した。その感覚を知っていれば、傷付いている人を更に傷付けるようなことは減るはず。

私は追い詰められた人たちに出会うたびにこの作品を思い出すだろうし、そういう人達が同じ国で今この瞬間に生きていることも、自分がいつそちら側になるか分からないということも、忘れずに生きていたい。

 

「普通に面白い」ではない、それこそつかこうへいの言うF1レースみたいな、そんな作品を久しぶりに見られた。やはり演劇は最高。遠山さんのこれからの作品に極大の期待を寄せて。ありがとうございました。

ジーザス・クライスト=スーパースター(2012 UK アリーナ・ツアー版)

日本時間の2020年4月11日早朝3時、なんとジーザス・クライスト=スーパースターが48時間限定で無料公開されます。そう。キリスト最後の七日間を、ユダの裏切りを、最高に尖った解釈で描き出して大問題になったミュージカルです。


Jesus Christ Superstar - FULL STAGE SHOW | The Shows Must Go On - Stay Home #WithMe

キャッツやらオペラ座の怪人やらを作曲した天才アンドリュー・ロイド・ウェバーと、美女と野獣やらライオンキングやらアラジンやらを作曲した天才作詞家ティム・ライスが20代の頃に作ったヤバいミュージカル。

ミュージカルとは言いますが、この作品、上記のどの代表作とも全然違う作品です。

まずロックです。そして感性がめちゃくちゃ尖っている。若いぜ!!!!!!!という感じが凄い。ミュージカルなんてしゃらくさいぜ、ストレートプレイこそ至高だぜ、そんな人も満足させるような熱量と疾走感。そしてミュージカル好きの人はとんでもない衝撃を受け、中毒になること間違い無し。とにかく物凄い作品です。

私が初めてこの戯曲に出会ったのは、社会人一年目のとき。劇団四季エルサレムバージョンを見ました。リアルなエルサレムの荒野を表現したクソシンプルな舞台、全体的に茶色くて全く華やかさの無い衣装、これ本当に四季のミュージカルか?と思いながら見ていたけど、最終的には別の意味でこれ本当に四季のミュージカルか?となった。つかこうへいの舞台を見た感覚に近い。究極に人間臭い登場人物たちのすれ違い、それぞれの思惑、慟哭、そして全てを掌で転がす姿の見えない父なる神の存在。カテコで嗚咽した作品は後にも先にもこれだけでしょう。学生の頃に見ておけば良かったほんとに。

そんなジーザス・クライスト=スーパースター、演出が時と場合によって全然違います。今回無料公開されるアリーナ・ツアー版は、2012年にイギリスでやったやつです。当時のロイド・ウェバーの理想形。アリーナなので舞台セットはライブっぽい。真ん中にでっっっっっかい幅の広い階段、アクティングは全てそこで行われます。そして両サイドにあるタワーではバンドが生演奏。演出はレミゼ新版のローレンス・コナー。全体的にすごいキャッチーな演出です。時の流れに乗る若手IT社長風のジーザスと、ストリート系の弟子たち。ユダヤの司祭たちはいかにも狡そうな大手企業の役員風。裁判官のピラトに、バラエティ司会者のヘロデ。なんかもうこの時点で面白そうじゃ無いですか?ということで、ナンバー紹介をしていきたいと思います。もう900文字ある。

 

1.Overture -序曲-

デモや暴動のニュースが映像として映し出され、ステージでは機動隊と若者たちが争いを始める。そしてスーパースターのメロディーが流れジーザスが登場すると、若者たちは争いをやめ、ジーザスの周りに集まる。この若者たちがジーザスの弟子、機動隊が圧政者の兵隊というわけですね。

曲はもう出だしからめっちゃ格好いい。これから起きる出来事の予兆のような不穏なギター。「テーンテテーンテテーンテテーレレーンテーン」のとこが凄く良い。全体を通して緊張感が凄い。格好いいですね。とにかく聞いてくれ。生バンドって良いなぁ。

 

2.Heaven On There Minds -彼らの心は天国に-

ドレッドヘアーのユダが登場。ティム・ミンチン、高音がスコーーーーンと出るので非常に気持ち良いですね。

どうか俺の話を聞いてくれ。このまま行けば破滅しかない。田舎で親父の家業をついで大工をしてればよかったのに。これじゃやりすぎだ。俺の話を聞いてくれジーザス。あいつらは何も分かってないんだ。それなのにあいつらの言う事を信じるのか。いつもお前の傍にいたのは俺じゃないか。

救世主として祀り上げられるジーザスを心配するユダと、一切彼の話を聞こうとしないジーザス。まぁジーザスは人類の原罪を背負って十字架にかかるためにエルサレムに行くつもりなので、ユダの警告を聞かないのは当然なんですよね。ついユダに対して「お前もういいから」みたいな顔をついしたくなるのも分かる。ジーザスを【一人の青年】として描いている作品ではあるんだけど、一方で聖書を描いている以上ジーザスは【神の子】なのでこの時点で当然自分の運命は知っているんですね。つらい。

 

3.What's The Buzz/Strange Thing Mystifying -何が起こるのか教え給え / 不思議な出来事-

これから何が起きるのか知りたがって騒ぐ弟子たち。めっちゃジーザスの動画やら写真やらを撮ってSNSにアップしまくっててすごいけどいつの時代もこういう根性って多分変わらないよね。「そんなこと知ってどうするんだ、言えるもんなら言いたいけど、言ったところでどうせ分からないだろ」と突き放すジーザス。そらそうなるよ。(精神的に)普通の人間がこれから自分が十字架にかかって死ぬって知ってたらそうなる。そんなジーザスの苦悩の中身までは分からないけど、とにかく病んでいるのを察して濡らしたタオルで顔などを拭いてくれるド派手メイクの革ジャンのマリア。周囲の人たちに対して「あーあ、彼女だけだよ俺が必要としてるものを与えようと頑張ってくれるのはよ」と当てつけのように言うジーザス。でもみんな全然聞いてないね。

 

と思ったら一人刺さって奴がいた。そう、ユダです。すっげー見てる。そしてわざと茶化すように「その女といちゃついてんのは楽しいんだろうけど、お前に相応しくないよ。言動不一致だし。俺たちいつ逮捕されてもおかしくないんだからいい加減にしてくれよ」と割って入る。革ジャンのマリアはマグダラのマリアなので元娼婦だったわけですね。ここでジーザス「お前はどれだけ偉いんだ、余計なこと言ってないで今すぐこの人から離れろ」と一度目のキレ。「罪のないものだけが石を投げろ」という有名なフレーズも出てきます。流石に気圧されるユダ。そしてそのまま弟子たちにもキレるジーザス。「お前らもいい加減にしろよマジで、どうせ俺がいなくなったって誰も気にしないんだろ」と。「そんなことないっす!そんなことないっす!」とうろたえ自己弁護する弟子たちに対して更に「お前ら誰も分かってないんだよ!!!!!!」とブチ切れるジーザス。もう見ていられない。

 

4.Everything's Alright -今宵安らかに-

ベタニアのマリアマグダラのマリアが同一視されているパターンですね。

あまりにも荒れているジーザスに、「大丈夫。心配しないで、とにかく休んで」と語りかけながら高級品である香油を贅沢使いしてマッサージを施す革ジャンのマリア。ジーザスもこれには思わずうっとり。ところがユダがマリアに突っかかってくる。「そんな高いもんジャンジャン使いやがって、その金で貧しい人たちを救うことだってできるのに、何やってんだ」と。マリアに突っかかってるけど、本当はジーザスに対して言ってるわけですね。最終的にゼロ距離に。ユダをガン無視してジーザスとの間に割って入るマリア。でもジーザスはスルーできない。だって親友だったんだもの。分かってもうことはできないけど、分かってもらえないのは悲しい。「そんなもので貧しい人たちを本当に救えるわけないだろ。私がお前のもとにいる間に考えるんだな。私が消えればお前は何も分からなくなり、後悔するぞ」と二度目のキレ。ユダが裏切ることは分かっている。それでも言わずにいられない。もうジーザスもユダも泣きそうな顔をしている。そして去ってしまうユダ。神、許せない。

 

5.This Jesus Must Die -ジーザスは死すべし-

 場面変わって急に出てくる高そうなスーツを着たしぶいおじさん。こういうビジュアルのおじさんが好きな人絶対いる。このおじさん達がだれかというと、カヤパ、アンナスをはじめとしたエルサレムを支配しているユダヤの司祭たちです。圧政を敷いて利益をむさぼっている人たちですね。新しい教えを説いて救世主と祀り上げられ、Youtube的な何かでも大人気なジーザスの様子を見て、自分たちにとって邪魔だと思うわけです。だから殺しちまえと。格好は現代風なんだけど、あくまでも聖書のお話なので、発想はだいぶアレです。

こんなシーンなのに聞いててなんか楽しくなるメロディーライン。みんなで一緒に歌おう。

 

6.Hosanna -ホサナ-

ホサナとは神をたたえる言葉だそうです。

キリストを囲んで「救世主!スーパースター!」とフラッグやらプラカードやら持って大盛り上がりの弟子と民衆。THE TWELVEの看板面白すぎるだろ。高そうなスーツを着たカヤパ、ジーザスに対して「こいつらを静かにさせろ。このままだと暴動になるぞ。こいつらは間違ったことをしているのだと教えてやれ」と言いますが、ジーザスは聞きません。「この歌は止めようがない。神の御国は実現されるのだ、みんな歌え!」とカメラに向かって挑発をかまします。とても貴重な元気なジーザス。

これもみんなで歌える歌なのでみんなで歌おう。

 

7.Simon Zealotes / Poor Jerusalem -狂信者シモン-/哀れなエルサレム-

ダウナー系狂信者シモン。弟子のひとりです。歌すっげぇうまい。

なんと素晴らしいお方!ローマの支配から我々を救ってくださる!ここにいる5万人すべて、あなたのために何でもいたします!信仰に少しだけローマへの憎しみを足せば、あなたの力はより強大になるでしょう!

なんでマリアも踊っとんねん。楽しそうだったからかな。

これもみんなで歌うと楽しいからみんなで歌おう。

 

でもジーザスが言いたいのはということじゃないだよね。キリスト教における【救い】というのはそういうものじゃないんですよ。だから表情が暗くなってしまう。結局誰も自分の教えを本当に理解する人はいない。「力とは何なのか、栄光とは何なのか、誰も分かっていない。なんて哀れなんだろう」と。それでも手を伸ばされれば握ってあげる。優しい。

 

8.Pilate's Dream -ピラトの夢-

優し気で小綺麗なおじさん登場。さっきのユダヤ司祭たちとは雰囲気がだいぶ違うけど、なぜかアンナスが身支度を整えてくれている。そして最後にカツラをつけたところで彼の職業が裁判官であると分かります。そう、彼がキリストに磔刑を言い渡すことになるピラトですね。彼がある夢を見たと語る場面です。

ある男に会った。男は忘れられないほどに追いつめられた表情をしていた。どうしたのかと聞くが何も答えない。その次に、彼を激しく憎む人々に会った。そして最後に、何億もの人々が彼のために泣いていた。そして人々は私の名を呼び、責めていた。

いわゆる予知夢というやつなんだけど、なんか変な夢だよね(笑)という感じで仕事に向かいます。お前、大変なことになるぞこの後。

 

9.The Temple -ジーザスの神殿-

THE TEMPLE(寺院) 、もはや完全にそういう名前のクラブになっている。祈りの場がクラブに。中に入ったジーザスは驚き、戸惑い、そして3度目のキレ。なかなか衝撃的なキレを見せるのでぜひ見てほしい。ちなみにユダは入口でなぜか入場拒否されています。ジーザスがこれ見たらまずいことになると分かっててついてきたんだろうに、可哀相。

場面変わって病人に取り囲まれ、治してくれと頼まれるジーザス。最初は一人ずつ手を握ってあげるんだけど、どんどん人が増えて、取り囲まれて、どうしようもなくなってしまう。ここの叫びが悲痛。そして最終的に「自分で治せ!!!!!」と言ってしまう。4度目のキレ。すがってきた人たちからしたら「なんやねんこいつ」となってしまう。あるよね、こういうこと。悲しい。

 

10.I Don't Know How to Love Him -私はイエスが分からない-

余計なことを言わずただただジーザスを愛してくれるマリア。姐さん感がすごい。よかったねマリアがいてくれて本当に。ジーザスはマリアだけが私のことを大切にしてくれていると言うけれど、マリアはどうしてあげたら良いのか分からずめちゃくちゃ思い悩んでいるわけです。それが愛なんだね。

どうやって彼を愛したら良いんだろう。今までの私とは全然変わってしまった。一体何がそこまで私の心を動かすんだろう。彼はただ一人の人間に過ぎないのに。いつも冷静だった私が、こんな風に誰かのことを想うだなんて。だけどもし彼も私のことを愛しているなんて言ったら、私は顔をそむけて、逃げてしまうかもしれない。それほど愛してる。

ジーザスを一人の人間として見ているのはマリアとユダだけなんですよね。マリアは自分の無力さを分かっていて、それでもしてあげられることを精いっぱいしていた。一方ユダは……

 

11.Damned for All Time / Blood Money -裏切り-

ここを間違えると全然意味が分からない話になっちゃうんですが、この戯曲の中のユダはジーザスを殺すつもりは全くありません。むしろ殺されないようにするために裏切るんですよ。これ以上騒ぎが大きくなったらいよいよアウトだ、今のうちに逮捕されておけば特に処分もされずそのうち放免されるだろう。そんな考えからジーザスの情報をカヤパ達ユダヤの司祭たちに教えてしまう。ところがユダヤの司祭たちはもうとっくにジーザスを殺す気満々なんですわ。結局リアリストに見えたユダも考えが甘いわけです。でもジーザスを想う気持ちだけは本物なんですよね。

俺だってこんなことしたくない。だけどあいつ自身ではもうどうしようもないんだ。だから俺がここに来た。金なんていらない。ここに来るしかなかったんだ。どうか俺が呪われているなんて言わないでくれ。

一人で悩みに悩んだ末の裏切り。そして無罪放免を信じていたとしても、裏切りは裏切り。追いつめられたユダの様子が痛々しい。

大人はずるいですね。「とにかく情報さえくれればいいんだ。そうしたら報酬を払う。我々は法律に則るだけだ」と。ユダはそんな血濡れた金なんていらないと言って受け取らないけれど、「お前の気持ちは分かるが、手数料は受け取るべきだ。この金があれば貧しい人も救えるだろう」と袋に入った銀貨を地面に落として去っていく。人を何だと思ってんだ。でもつい金を手に取ってしまうユダ。ここで聞こえてくる幻聴も限界感があって悲しい。どいつもこいつも孤独だ。

 

12.The Last Supper -最後の晩餐-

一日の終わりにのんきに語り合う弟子たち。「引退するときには福音書でも書いて有名になろう」とか。なんとか笑顔を保っていたジーザスだが、裏切りを果たして帰ってきたユダの姿を見て耐えきれなくなってしまう。その運命を知っていて、そうしなければいけないことも知っているけれど、それでも耐えられない。「お前達もどうせ私が死んだってすぐに忘れてしまう。お前達のうち一人は私を他人だと言う。それはお前だペテロ」5度目のキレ。突然の名指しにうろたえまくる弟子たち。

更に「そしてお前達の中の一人は私を裏切る」と畳みかけるジーザス。「小芝居はやめろ。誰だか知ってるくせに」とユダ。「なぜ行かない」「お前が俺に裏切らせたんだ」「早く行け」「どうして俺がこんなことをしたのか、お前は分かってくれるだろ」「そんなことどうでもいい」「お前に憧れてたのに、こんな奴だったなんて」「この裏切り者め」「お前がそれを望んだんだろう」「さっさと行け。お前の話なんて聞きたくない」「お前は哀れな奴だ。お前のせいで俺たちの理想は死んだんだ。だけど一番悲しいのは誰かがお前を売り渡さなければいけないってことだ」「早く行け。彼らはお前を待っているぞ」「お前がもっときちんと計画していれば、こんなことにはならなかったんじゃないのか。こんな悲しいことにならなかったんじゃないのか」

このやりとりの間、ジーザスとユダはほとんど視線を合わせない。ジーザスがユダを見ているときはユダはジーザスを見ていないし、ユダがジーザスを見ているときはジーザスはユダを見ていない。このすれ違いが悲しい。ジーザスは十字架にかかって死ぬために親友であったユダに裏切られなければいけない。ユダはまさかジーザスがそんな想いでいることも、ジーザスがこれから死ぬなんてことも知らない。分かりあいたいのに、分かりあうことは許されない。弟子たちののんきな歌詞のコーラスが平和だった過去を思い起こさせる。悲しくて激しくて美しいシーン。

 

13.Gethsemane -ゲッセマネの園-

あんだけのことがあって普通に寝られる弟子たちすごいなマジで。ジーザスの呼びかけに誰も反応しない。ジーザスこれから死ぬんだぞお前ら。

ゲッセマネの園で一人祈るジーザス。

神よ、最初はあなたのことを信じていましたが、今は自信がありません。この3年を30年間に感じるほどに、私はあなたのため働いてきました。なぜ私は死ななければいけないのでしょう。どうか教えてください。私の死は本当に意味があるものなのでしょうか。私にはもう分からない。あなたの望みは厳しすぎる。私の気が変わらないうちに、早く私を殺してください。

ジーザスの内面が初めて観客にむき出しになるシーン。絶唱。ベン・フォースターのハイトーンがものすごい。

 

14.The Arrest -逮捕-

兵隊(警察)たちに誰がジーザスかを伝えるためユダが口づけする有名なシーン。去ろうとするユダを引き留めてジーザスが抱擁する。このタイミングになってようやくユダに自分の本心を開示できるジーザスの悲しさよ。

今更起きてきて焦る弟子。なんなんだお前らほんとに。でも人生ってそういう感じだよね。分かるよ。

そしてジーザスが逮捕されるやいなや手の平返して煽りまくるマスコミ。こういうときのマスコミってほんとやだなって思いますね。

ジーザスをなんとか有罪にしてやろうとするカヤパとアンナス。「感謝するぞユダ。もうすぐジーザスの血が見られるだろう」司祭たちをにらみつけるジーザス。一瞬だけ映るユダの絶望しきった表情。本当に親友だったんだなこの二人、というのが分かって辛い。

 

15.Peter's Denial -ペテロの否認-

「お前は私のことを三回も知らないと言う」と名指しされたペテロ、マジで三回知らないと言って、マリアに責められる。しょうもなさすぎる。でも人生ってそういう感じだよね。分かるよ。

 

16.Pilate And Christ -ピラトとキリスト-

法廷の外でジーザスに出合うピラト。なかなか衝撃的な恰好をしているのでぜひ見てほしい。面倒事の空気を感じ取ったのか、筋トレしながら「お前はローマ人じゃないんだからここで裁く必要はない。ヘロデ王のところへ行ってこい」と流す。いいのかそれで。

 

17.King Herod's Song -ヘロデ王の歌-

人気バラエティ番組の司会者、ヘロデ王。視聴者投票でジーザスが神の子か詐欺師か決めちゃお。近頃うわさの”神の子”がゲストとあって、水の上歩いてみろとか水をワインに変えてみろとか色々言うわけですが、ジーザスはずっと不機嫌な顔で無言を貫き通します。なんならヘロデ王が水をワインに帰るし水の上歩くしバク転もする(しない)。ぜひ見てほしい。結局、こんなつまらないやついらない、とジーザスをピラトのところに付き返します。

 

18.Could We Start Again, Please? -やり直すことはできないのですか-

ジーザスへの想いを歌うマリアとペテロ。

こんなはずじゃなかったのに。どうしたらよいのでしょう。やり直すことはできないのでしょうか。

綺麗なメロディがむなしい。

 

19.Judas' Death -ユダの死-

ユダヤの司祭たちのところへ殴り込むユダ。カヤパがめっちゃ出血する。

ジーザスをあんな目に合わせるなんて、あまりにも酷い。もう死にかけているじゃないか。そして責められるのは俺一人なんだ。あいつは俺がなぜ裏切ったのか、きっと分かっていない。俺を恨むだろう。ただ救いたかっただけなのに。

あまりにもかわいそうなユダ。劇中楽しい瞬間とか心休まる瞬間とか一瞬たりともない。「言い訳なんてするな。民衆はあいつを裏切った。お前は正しいことをした。そして報酬も手にしたんだ。割の良い仕事だったじゃないか」と追い打ちをかけるアンナスとカヤパ。アンナスすげぇ蹴るしユダは泣いてる。

あいつのためなら国を売ったっていい。俺は無罪のあいつの血を浴びてしまった。

ここから「I Don't Know How to Love Him」のリプライズが入るのが凄く切ない。

あいつを愛していたのに。あいつはただの人間だ。王様じゃない。他の奴らと同じ人間なんだ。あいつが死んだら俺はどうしたらいい。あいつも俺を愛していただろうか。あいつも俺のことを考えていてくれただろうか。

ジーザスは分かってるよユダ。全部分かってるけど、分かっちゃいけなかったんだよ。そしてユダは自分が神の計画に利用されていたことに気付き、なぜ自分にこんなことをさせたのかと言いながら死を選びます。最後にジーザスの名前を呼ぶパターンはこのアリーナツアー版でしか見たこと無いんだけど、すごく悲しい。

 

20.Trial Before Pilate -ピラトの裁判-

この辺になるとリプライズもいっぱい出てきてすごい音楽的にも盛り上がりますね。

やっと仕事をするピラト。確かにジーザスの言っていることは妙だが別に罪を犯したわけでは無い。それなのにユダヤの司祭たちはジーザスを死刑にしろと言う。そしてフェンスの向こうでは、つい先日までジーザスを王とたたえていた民衆までもが「こいつを十字架にかけるのが皇帝のためだ!」と叫ぶ。「偽善者どもめ。今まで皇帝のためなんて言葉聞いたこともない。なぜこんな普通の男をそこまで憎む。何の罪も無いただの人間だ」しかし熱狂した民衆にピラトの言葉は届かない。結局民衆の気を収めるために鞭打ちをすることに。このときのジーザスの叫びの悲痛さが凄い。数えるピラトもめちゃくちゃ辛そう。いい人なんだこのおじさんは。初めてJCS見たとき一番好きになったキャラクターでした。

「答えてくれジーザス。お前を生かすも殺すもお前の返答次第なんだ。私はお前を助けてやれる」「あなたの力なんて、運命を変えるには遠く及ばない」

早くジーザスを十字架にかけるよう騒ぎ続ける民衆。このもう半ば暴徒化してしまっている。

「愚かな奴だ!私はもう関係ない。死にたいなら死ぬがいい。哀れな操り人形め」ジーザスを救いたいのに、見切りをつけなければいけないピラトが悲しい。

ユダにしろピラトにしろ、神のせいでどんどん罪人が増えるシステム。

 

21.Superstar -スーパースター-

このミュージカルの中で一番有名な曲でしょう。

いよいよ磔にされるというジーザス。のところに現れるエンジェルズとダンサーズとコーラスを引き連れたユダ。

俺はよく分からないんだ。もっと上手くやれたはずだろう。俺はただ知りたいだけなんだ。悪気があって言ってるんじゃないんだよ。お前の酷い死に様について、お前はどこまで知ってたんだ。誤解しないでくれ。ただ知りたいだけなんだ。

このユダがジーザスの見ている幻覚なのか、幽霊的な何かなのか明言はされてないんですが、とにかくもう死んでるのでノリノリです。全てから解放されている。タンバリンとか叩いてるし。

ブラスアレンジがめちゃくちゃ良いのでぜひ聞いてください。

 

22.The Crucifixion -磔-

23. John Nineteen Forty-Oneヨハネ伝・第19章41節

こっから歌無し。現代音楽っぽいようなジャズっぽいような音楽をBGMにして、磔にされたジーザスの悲痛な叫びがこだまします。聞いてて本当につらい。駄目な人は駄目かもしれない。お母さん呼ぶとことか。絶命したあとは真っ赤な照明と花弁が舞い散る中、十字架から降ろされ、WSSとかでもお馴染みの担がれ方で退場していきます。現地の前方で見ていたら多分マリアの泣く声とか聞こえたんだろうな。最後は弟子たちが勢ぞろいし、背後のスクリーンにジーザスの教えが書かれたと思しき張り紙が映し出される。ジーザスの死は無駄じゃなかった、ということなんだと思う。

 

あとはカーテンコールがジーザスの復活を表しているという説もあるし、劇中で復活しないのはジーザスが人間であったというのを強調する意図があるという説もあったり、色々あります。奥深い。

落ち着いて真面目に見ても面白いし、ノリノリで縦揺れしながら見ても面白い。みんな見てくれ。そしてジーザスとマリアが結婚してユダが小うるさい近所のお兄さんしてる本とか書いてくれ。

2020年まとめ

2021/6/19 21:55更新

 

※ただの個人の感想なんだから何物にも囚われない、忖度しない、を目標に書いています。

 

1.フランケンシュタイン

初韓国ミュージカル。苦手なんじゃないかと思って食わず嫌いしてたんですが、思い切って飛んでみた。

なるほどこれか。こういうことか。このドロドロと俗っぽさ、全然嫌いじゃなかったです。というかなんか勢い良すぎて逆にドロドロしてない。

怪物とカトリーヌが北極に憧れるあたりとか、ちょっとブックオブモルモンを思い出したり。あれはコメディに全振りなんだけども。思わず笑ってしまうほどに悲しい。何も知らない二人。カトリーヌの高速掌返しも悲しい。あんな限界状態じゃね。あの辺の脚本、つか芝居みたいだった。

アンリがさぁ、だめだよね。友情じゃないよねあれは。全部ビクターに押し付けて満足して死ぬな。オタクかお前は。死ぬときめっちゃ良い顔してたなぁ。

鈴木壮麻さんが二幕で一切歌わなくて混乱した。

 

2.OFF THE WALL(梅棒)

めちゃくちゃ長い文章を書いたのでそちらをご覧ください。

この文章はだいぶエモ過剰だけど、実際はザッツエンターテインメント、爆笑に次ぐ爆笑、そしてちょっぴり涙、という塩梅。

エモに裏打ちされたコメディ。

みんなとにかく次の公演を見て。

すごい個人的な話をすると、我々の世代にとって梅棒って憧れの団体というか、ちょうど学生演劇やってたころに「なんかめちゃくちゃやべぇ団体が出てきていきなりパルコで公演やるらしい」っていう団体だったんですよね。そんな団体の10作目を見られて、最高に楽しむことができて、良かったなぁと思った。

 

3.Pickaroon!(壱劇屋)

関西で人気の殺陣芝居劇団の東京支部の公演。

すごいからくりサーカスの良いエッセンスを感じた。

七賊全員がフランシーヌ人形であり、そしてコロンビーヌとか、加藤鳴海とか、まさかのフェイスレスとか、そういう要素も感じられたり。

サハラ編と過去編の良いとこ盛りですよほんと。見る前はこんなに人が死ぬタイプの話だと思わなかったからびっくりしたけどな。

そして敵役二人がめちゃくちゃ良い。

佐久間様の殺陣多すぎ。強すぎ。あのたぬき親父の雰囲気であんな格好いい動きをするのはずるい。片手後ろに回して上着押さえながら殺陣するのマジで格好いい。

そして勝又くん。俺たちの勝又くん。死亡フラグを散々立てていたけど死んでほしくなかった。ずっとヘラヘラ笑って悪態ついてて欲しかった。銃剣というには変わった得物。柄が銃て。中二心に刺さる。軽薄な振る舞いに隠された忠誠心。なのにその忠誠心を捧げた相手に裏切られて殺されるてお前、そんなんみんな好きになってしまうじゃん。そして何よりかわいい。現金をあげたい。そして一晩で使い切ってほしい。

お別れのシーンの飛の台詞と舞踊がすごく綺麗で泣いたし、ラストみんなに背中を押されながらも一人で歩く御姫が涙を堪える姿に泣いた。

全体的にキャラクター性とビジュアルが凄く一致してて良かった。

 

4.改竄・熱海殺人事件 モンテカルロ・イリィージョン

中屋敷法仁さん演出。

初演の映像を見すぎて私の中で「モンテを見た時の感情のライン」が決まってしまっていたんだなぁ、と思った。追体験したいなら映像を見るべき。演劇作品をこじらせてはいけない。という自戒が生まれた。

 

5.死神は桜の下で舞う(GHETTOプロデュース)

前説からの芝居の入り方がとても良くて雰囲気のある役者さんだなぁと思ったらまさかの主宰さんでした。

都市伝説を基にした作品なのでとにかく情報量が多い。そこに新宿という街のごちゃごちゃがミックスされた、アングラというにはめちゃくちゃキャッチーな、エンタメというにはあまりにも路地裏の雰囲気がある作品。

何でも屋のところに「自分の死体を探してほしい」という死神がやってくるというあらすじを読んで、こういう舞台の何でも屋というからには二人ともめちゃくちゃ強いんだろうと思っていた。違った。殺し屋がいたら逃げるしかない普通の人間だったのがとても良かった。普通の人間というか、どちらかというと何もできない方の人間で、それでも絶対に守りたいものがあったり、人情を通したかったり、みんなを幸せにしたかったり、そういうバランスが新宿という舞台に対して丁度良い。

どんだけ笑いで飾り付けても消え切らない不穏さが漂う中で、小津さんと杏ちゃんの存在がとても良かったのと、江戸川と安道のキャラデザと作画が神懸かっていた。

 

6.ロボット・イン・ザ・ガーデン(劇団四季)

小山さんの演出によって今までと全く違った劇団四季が見えてきた。ホテルカリフォルニアのシーンの色合いとか、蓄光が光るところとか最高でした。

正直、ちょっと長い。ちょっと長いけど、めちゃくちゃ泣かされた。犬の話は無理。それ以外にももう自動的に涙が流れてくるようなシーンが暴力的なほど沢山ある。

コロナ禍云々という意味じゃなくて、もっと大きな意味で「現代」を生きる我々へのメッセージが詰まった作品でした。

ここからまたブラッシュアップされていくんだろうと思うと楽しみ。

 

7.成井豊と梅棒のマリアージュ

成井さんは配信しか見てないのでノーコメントで。

遼さんが優勝。そして犬は世界一賢くて優しくて優秀な生き物。

ぶっちゃけ不完全燃焼だったけど、こちらで無事完全燃焼されました。

https://kitakata-3594.hateblo.jp/entry/2021/05/16/230308

 

8.オペラ座の怪人(劇団四季)

横浜以来のオペラ座。やっぱり専用劇場だと舞台セットの迫力も見やすさも最高。

あと演出が新しくなって、私的にはめちゃくちゃ分かりやすくなりました。緩急がめっちゃ付いて歌詞が重なる部分も聞き取りやすい。

加藤さんのラウルなら確かにまぁ囮やってみっか!という気持ちになれる気がする。

そして何よりも支配人ズがちゃんとコメディリリーフとして機能していてすごい。平良フィルマンと北澤アンドレ、それぞれのキャラが立っているので、何でそれぞれそういった行動に出るのかがはっきり分かるし、だからこそ笑える。めちゃくちゃ面白かった。

ブケーはまぁあれだけど、よくよく考えたらピアンジが殺されるの可哀想だよね。

 

コロナ禍にしては見られた気がする。2021年はもっと見たい。

OFF THE WALL(梅棒)

【会場】こくみん共済 coop ホール/スペース・ゼロ

【上演時間】1時間45分

 

生まれてから人格形成までを平成に済ませたTHE 平成人間です。

前説で「散々昭和を馬鹿にして育ってきた平成生まれの人手挙げて」って博士に言われてみんな素直に手を挙げたあたり、それでこそ平成生まれと思うなどして楽しかったなぁ。

別に馬鹿にしてないけど、手挙げてって言われたら挙げるんですよ平成生まれは。素直が取り柄。

今回の梅棒は昭和の小学生がテーマということでわりと構えました最初は。なんか引っかかるかもって。

でも、今自分が実際に小学生と関わっているということもあって、今もいるわこういう子、今もあるわこういう事と思ったし、じゃあ自分はそういう子たちに寄り添える大人になることができているだろうかと考えました。指導する立場じゃないし、同じ子達と二度と会うことはないけれど、何かしてあげられることは無いかなぁって今まで以上に真剣に考えるようになったし、一人一人をちゃんと見たいと思いました。

描いていたのはままならない現実と、それでもハッピーエンドにたどり着いた奇跡。とても素敵なファンタジー

歴代の梅棒作品の中で一番好きです。

大阪遠征一日早く切り上げて楽日に来たぐらい好きです。宿代はドブに捨てました。

プログラムにこれが第一シーズンの締め括りであり節目って書いてあったから、その終わりに私の好きな梅棒を見られて本当によかったと思いました。

 

以下、記憶だけを頼りにしたナンバーごとのメモ。

 

前説

梅棒の前説って良いよね。ただ注意事項を伝えるだけじゃなくて、世界観にぐっと引き込んでくれる。

「あの頃はよかった」にちょっと身構えた。

でもこれは現代において世間から腫れ物扱いされるおじいちゃんの「あの頃はよかった」だし、なんなら本編中で我々が博士の話を聞いているのはM10とM21のラストだけだし、というのを考えると全然構える必要はなかったなと思った。千秋楽の語り、本当に柔らかで好きでした。博士は博士で色んなことがあったんだろうね。ねるねるねるねのCMのオーディションに落ちたり。ビックリマンチョコのチョコを子どもたちに恵んでもらって食いつないでたり。聞いてるこっちは爆笑だけど、本人からしたら別に良いことばかりじゃない。それでも「あの頃はよかった」。それを言える博士だから、最後会いたかったものに会えたんだなぁと思うなどした。

 

M1:Fight Music

女子組の入場がめっちゃかわいい。

騎馬組んでるギガント組すごい仲良さそうで、ただ暴力だけで従わせてたんじゃないんだろうなと思う。彼の寂しさになんとなく気付いてた子、遠慮のなさに救われてた子、力強さに憧れていた子。そう思わせる何かがギガントから滲み出てる。

曲調は明るいんだけど、歌詞はわりとシビアで、舞台上で起きてることもわりとシビアで、それでもメガネが立ち上がるあたり今回の公演の方向性をバッチリ感じさせるナンバーでした。

カンチョーされた先生がたっつぁんにオロナインを塗ってもらうシーン、目の前1mぐらいの距離で二回見たんですけど、面白すぎ意味分からなすぎで駄目です。2列5番はオロナイン席。それのせいでこのナンバーの記憶が半分以上消えたみたいなところがある。ごめんなさい。尻にオロナイン塗ってくれって頼まないし、塗ってあげない普通は。たっつぁんが手を洗いに一回はけるのも、最後のサビで良い顔してる先生も面白すぎて駄目だ。誰だこのシーン考えたの。勝手に遠山さんだと思ってるんですけど。違ったらごめんなさい。天才。


M2:交響詩 ツァラトゥストラはかく語りき

野田さんの芝居が細かい。全部分かる。全編通して台詞無しでここまで語るか、という感じ。計算され尽くされているのにがむしゃらでもある。エリートな上に根性丸出しみたいな。完成度が高すぎる。強い。

ポルポがめっちゃかわいい。てーん!、という顔をしている。かわいい。かわいいなぁ。かわいいしか言えない。なんでこんなに「そういう生き物」になれるんだろうか。すごい。かわいい。


M3:COOLEST

まず曲がめちゃくちゃCOOLESTだし、歌詞が梅棒にぴったりで更にCOOLESTだった。全く新しい舞台のジャンルを作り上げ、それをブランドとして確立して、ここまで公演規模を拡大してきた年月は、まさに華麗にステップ茨のROADだったんじゃないかと思うし、舞うように切り開くWINDING ROADだったんじゃないかと勝手に思った。

良かったなぁ、この曲と出会えて。しばらくリピートします。

天野さんのダンスがソラノカナタノセカイ頃からすごく好きで今回も好きでした。

今人さんの梅棒ポーズはずるい。

ニーディストラクションのところで膝蹴りかましながら前に出てくる振付がめっちゃ良い。鶴野さん天才。

フォーメーションも面白いから引きで見たときの方がよりうおおおおおおって感じがした。

野田さん櫻井さんが踊ってるとき奥で座ってる鶴野さんのポーズがめっちゃ格好いい。

役の衣装に変わって最初に登場するのがハチなのが凄く好きです。

スタッフさんが屋台出すのすごい速さで感動した。

 

M4:たいせつ

宇宙にあこがれる内気ないじめられっ子が宇宙人と友達になるってもう約束された超王道じゃないですか。

メガネとポルポが一緒に踊るところの多幸感がすごい。そしてこの公園にたっつぁんがいてくれて良かった。

メガネ、頭の回転早いし、いざというときは友達のために勇気を出せるし、本当は全然できない子じゃないんだなというのが分かる。

ポルポの目は宝石。キラッキラ。

博士、たっつぁんを持ち上げであんだけ回転するの凄い。そして尻を揉みすぎ。そりゃ結構な勢いでどつかれるよ。

二回目以降だと地球に降り立ったポルポの心情を考えてしまう。あの呆然とした顔。メガネに出会えてよかったねぇ。握手してもらえて本当に嬉しかっただろうし、安心しただろうなぁ。


M5:おどるポンポコリン

あのウルトラセブンのお面がどれだけビンボにとって貴重なものなのかっていうのを大人は考えちゃうじゃないですか。多分ハチもちょっと考えてる。でもギガントは考えないじゃん。自分のことでいっぱいいっぱいなので。だからある部分で一緒にいやすかったのかなって思ったり。

ツネヲはツネヲでずっとギガントの味方でいるって決めちゃってるのが分かる。ギガントはツネヲがいなかったら多分もっと大変なことになってたと思うので、いてくれて本当によかった。

ギガントの蹴りが胸に入っちゃったビンボの咳き込み方がリアルでつらい。暴力ダメ絶対。

「お笑い芸人登場」で出てくる先生、完全にお笑い芸人ですごい。別にお笑い芸人らしいことは何一つしていないけど出ただけで笑い取れる。すごい。そして若ハゲが凄まじすぎて一体どんな苦労をしてきたのか不安になる。でも先生ってマジでそれぐらい大変だよなぁ、というのを最近思う。

ギガントに勝って満足気なポルポがかわいい。

ポルポを隠そうとするたっつぁんの動きの不器用さがリアルですごい。そしてポルポに思いっきり叩かれても叩き返さないところが好き。


M6:掃除が大事

イントロのイインチョかわいすぎませんか。動きもかわいいし、振り返ったときの表情もかわいい。

振付がめっちゃ楽しい。そして先生がかわいい。

先生が説明してる時点で既に遊びに行こうとしてるギガントと「まだ先生いるから大人しくしてないと」ってするツネヲの対比よ。ここでツネヲを殴って黙らせないあたりに関係性が見える。完全な子分じゃなくて共犯者なのよね。ツネヲは最後まで自分で選んでる。

イインチョ、頼むからそのまま大人になってくれ。「胸に手を当てて、もう一度自分を見つめて」の口パクがすごいかわいい。

モー子がホウキにまたがって魔法使いごっこしてるの可愛いし、ラストへの伏線ですよね。そのあとイインチョに注意されて「ごめん」って言うときの表情もかわいい。ポルポを見つけてメガネを吹っ飛ばして駆け寄るのもかわいい。

ビンボがホウキでバランス取ってるのもかわいい。すごい上手い。からの唐突な美しいターン。笑うわあんなん。

ゴミ箱にゴミ戻すためにポルポがソースの力を使うシーンの顔が絶妙。

モー子のお口ミッフィーからのチャック、記憶の中に永遠に残しておきたい。

イインチョと目があったときの博士の煽り顔の煽り力がヤバい。

 

M7:少年

ジャミラアイスラッガー白刃取り。

お面壊されてしゃくりあげるビンボがあまりにもかわいそう。

ポルポのソースの力は修復じゃなくて、望む形にする力なのかな。

たこ焼き焼きながら踊るたっつぁんがやたらと格好良い。

「アイアムストロング」のギガントとツネヲがかわいい。仲良いな君らは本当に。カンチョーはもうやめなさい。というかもう先生がズラだってみんなに知られてるじゃないですか。

金八先生からビンビンというかトシちゃんになるの華麗なる変身すぎて「はーーーーー」と思ったし、華麗なのに相変わらず様子がおかしくて感情が行方不明になる。

髪が生えてめちゃくちゃハイになって屋台前でいつまでもオンステージする先生に唖然とするたっつぁんに笑う。

 

M8:ミスター

遠山さんのコメディ作家としての才能が爆発している。

モー子ほんとかわいいな。

縄跳びできなくてこけちゃったモー子に一瞬駆け寄ろうとするけど立ち上がったの見て安心するハチ、イケメンにも程がある。アクロバットもめちゃくちゃ格好良くてイケメンにも程がある。

なんで梅澤さんあんな小学生女子感を出せるんだろうか。モー子の背中を押したあとの表情が良すぎて。口パクで何言ってるのかめっちゃ気になった。

ババ抜きってあんなに面白くできるんですね。

「ハァーーーーン」の音はめ好きです。

なんでタネを浴びてるんだ、たっつぁん。生でタネ食べたら危ないぞたっつぁん。

苦悩するハチの主人公みが凄い。


M9:抱きしめてTONIGHT

遠山さんが考えた爆笑コメディとYOUさんの最高の振付と楢木さんの丁度良さが合わさった結果、予想の斜め上方向から何かヤバいものが飛んできてぶっ刺さった。物凄い爆発力。最高。

面白いと格好いいと可愛いと美しいが物凄い濃度で同居していて脳がバグる。なんだこれ。そりゃたっつぁんもガン見するわ。

元の振り付けのエッセンスも感じられてとても良い。

肘をついた姿勢で爪を噛むのを真似するたっつぁんがかわいい。

先生が飲んでるもの、カップの形からして紅茶かな?カップを指で弾く仕草が謎お洒落だった。ワインとかブランデーとかじゃなくて紅茶というあたりが絶妙。誰が考えたんだろう。と思ったら遠山さんか。天才です。足パタパタしてるところもかわいい。

問題児でも困っていたら放っておけない先生、とても良い。先生ってそうよね。そうであってほしい。

みんなのお悩みを聞くポーズがとてもかわいい。

そしてこんだけかわいいのに常に様子がおかしい。

しょんぼりポルポもかわいい。

全員で踊るところのビンボがキレッキレ。曲に合わせて踊り方が全然違ってビンボのニュートラル感が分かりやすかった。遠山さんマジですごい。

今回一番好きなナンバーでした。

筒美京平ってすげーーーーーーー。


M10:地上の星

今人さんの本気。一人で喋ってるのを忘れさせるほど普通にのめり込んでしまう。ウスター卿の手動音声エフェクトのクオリティがやたら高い。

劇中劇として単純に面白いし、ポルポの事情が分かることで本編のドラマ性が深まる。

「ソースの力だって使えるもん」って初めて聞いた時???となって「ソースの力を侮るな!」と言われてやっと意味が繋がって爆笑。

梅棒の殺陣、好きです。

国王軍のそれぞれのライトセイバーの構え方がもうめっちゃ格好いい。

遠藤さんが良いのは当たり前として、下手側で殺陣やってるトルーパーは遠山さんですか。動きがとても早い。遠山さんの殺陣が好きなので嬉しかったです。

王が王妃を守ろうとしたとき客席後ろの壁に投影される照明エフェクト、ポルポが目覚めたときと一部同じですよね。演出が細かい。「自分以外の大切なものを守ろうとしたとき、本当の力が目覚める」すごいキーになる台詞ですね。

パパのモノマネをするポルポの顔が回を重ねるごとに凄いことになってヤバい。

あえて国王軍とトルーパーに屋台運ばせるの、つい見てしまうのでやめてください。飯野さんがすごい真面目な顔して慎重に運んでるの面白すぎる。ずるい。

 

M11:見上げてごらん夜の星を ~ぼくらのうた~

宇宙の話するメガネ、すっごいキラキラしてる。

1,2番の間奏でハチとビンボが登場するところが凄い好きです。切ないシーンではあるんだけど、夜の公園のワクワク感もあって。親に見つからないようにこっそり抜け出して来たんだろうね。あんな大荷物で出て行ったら多分バレてるけど。

交換日記読んでるときに目をパチクリさせるポルポがかわいい。

花道で踊る遠山さんのダンスがすごい好きです。

屋台借りるときにみんな「ごめんなさい」してから借りるのが良い。ここでビンボがたこ焼き焼いてるのが令和2年への伏線ですね。才能に気が付くたっつぁんも偉い。これがなかったら令和2年のビンボは多分あそこに辿り着けなかったよね。ポルポとの出会いによって本当にみんな色んなものを得られたね。

 

M12:浸食 〜lose control〜

コックリさんってさぁ、思い込みが強い子が動かすんだよね。イインチョじゃん。イインチョの深層心理じゃん。それが狐を呼び覚ましてしまったんじゃん。クラスのみんなが自分を好きかどうかなんてさ、普通は気にしないじゃん。そんなん考えたことないもん。嫌われてるんじゃないかって不安だから聞いちゃうんだよね。結果あれ。そらそうなるわ。悲劇が振り切れると喜劇になるので普通に爆笑してしまったけど、後から思い返すと悲しい。あのちっぽけな肩にこんな気持ち背負ってたなんて。だから令和2年のイインチョが凄く楽しそうでイキイキしててキラキラしてて本当に嬉しかったなぁ。

イインチョから見たモー子はとっても可愛くて優しくてみんなに好かれる女の子なんだね。その通りなんだけど。自分と違って、って前置詞が付くんだろうなぁこの時点では。

最後、髪の毛がずるりと出てくるところはリアルに「げぇ」って言うぐらいホラーだった。

あと殴る音をあえてSEじゃなくて足で出したことによって重さが伝わってめちゃくちゃ笑いました。

大縄跳びで狐の手を作りながら跳ぶ狐、訳分からなすぎて好きです。あと櫻井さんの狐が早々に脱落した回はめちゃくちゃ笑いました。

 

M13:ふっかつのじゅもん

やはりメガネはわりと恵まれた家庭環境で育ったんだなぁ。図鑑とか、ファミコンとか。

ハチが勇者のポジションを自然にメガネに譲るところがめっちゃ好きなんですけど。本来ならハチって主人公ポジョンにいるようなパーソナリティしてないですか?少年漫画や児童書の主人公概念。このナンバーがあることで次以降のMがとても引き立つ。

ビンボ、舞台に出る前から前が見えなくて舞台袖でカーテン開けたり閉めたりしてて笑った。

たっつぁんがお面つけるときの「やってやんよ!」な表情、良い。

そしてビンボの攻撃がかなりマジでいたなぁこういう子となる。股間を攻撃するのはやめなさい。

たっつぁんがノックアウトされたあと、メガネにやられそうになるポルポのきゃーって顔がとてもかわいい。

仕事帰りにわざわざ子ども達に声かけしに公園に寄る先生、すごい。しかも半ば巻き込まれたとはいえ遊んであげるあたり本当にすごい。でもタイミング悪すぎんよーーーーーーーー。空気を読むのが下手というより絶望的にタイミングが悪い先生……事件が起きるときも間に合わないし……悲しい……滑り台の上で腕をくるくる回す振りがめっちゃ可愛い。

ツネヲがさぁ。なんでも買ってもらえる坊ちゃんが「ごっこ遊び」に参加すんのがさぁ。こういうキャラにありがちな金持ちを鼻にかけるムーブもほぼしないし、あんま家好きじゃなさそうだよね。家族にもそんな素振り見せて無さそうだけど。下手に器用だから。ツネヲの世渡りはギガントに媚びることじゃなくて、大人から見られたときに一線を超えないようにすることなのでは。ギガントと一緒にいることが唯一の反抗だったんじゃないかな。でもみんなが楽しいことしてたら参加したくなっちゃうよね。ギガントがあそこにいるの知らなかったしね。絶対これが引き金になっている。

たっつぁんの武器が拳銃なのは、CGHで櫻井さんがお巡りさんをやっていたからなのか?そうなのか?

ギガントがたこ焼き屋の看板に隠れて見ているのが切ない。すっごい一緒に遊びたそうな顔してんだもん。2列5番に座ったときずっと見てたけど、どんな顔して良いか分からなかった。でも目が離さなかった。舞台見てるときって基本役で見てるけど「うわこの人こんなことできるんだ」みたいなときに、ふと役を飛び越えて役者さんを見る瞬間がある。でも今回塩野さんに関してはずっとギガントにしか見えなかった。ウスター卿のところは塩野さんも見えたけど。ギガントのときは寂しさとやり切れなさを抱えきれず持て余し持て余される一人の小学生しか見えなかった。だから本当に本当にしんどかった。楽しいナンバーの中で一人だけしんどいの、しんどいなー。

 

M14:忘却の空

メガネはここまで一貫していくら殴られても殴り返すのはダメって言うんだよね。すごいよお前。だってポルポの力があるから勝とうと思えば勝てるのに。それを良しとしない。気高い。

M13で感じた寂しさをこういう風にしか持っていけないギガントが悲しくて悲しくて。でも可哀想だからと許されることでもなくて。だって実際にそのせいで傷付けられてる子たちがいるわけだからね。めちゃくちゃしんどい。一番深く傷付いてんのは多分ギガントなのに。

ハチがもう……ハチ……あんなに主人公概念のハチですらここまで曇るのがさぁ……悲しい……

ビンボの何も分かってない感がナチュラルに出せる遠山さん何者なんだ。いたよねああいう子。

ポルポがこけたら自分で立ち上がらないの知ってて突き飛ばすメガネ、悲しい……

そんな中、ツネヲ。ツネヲ、潔い。やり方は卑劣だけど潔い。入れ知恵が最悪すぎてもう笑うしかない。こんなところで要領の良さを見せるな。そして泣いてるポルポを慰めるときの熱演、かわいい。ギガントとツネヲがハチとビンボを操る振り付けもあるあたり、やっぱりツネヲは子分じゃなくて共犯者。マジでお前がいなかったらギガント一人が悪者になってた。いてよかった。

 

M15:エロティカ・セブン

辛い。サザンの曲聞いてこんな辛い気持ちになることありますか。多分もう一生ない。

冒頭でモー子とイインチョが交換日記を「見せて」「ちょっとだけだよ」「ちょっとだけ」ってやってるのすごいかわいい。かわいいだけに破いちゃったときのイインチョが本当につらい。

ハチ、しんどすぎて見ていられない。

そんな中、ツネヲはほんとにもうなんなんだお前。カエル怖いのか。ううう〜の顔と動きがかわいくて腹立たしい。ツネヲがいなかったらギガント一人が悪者になっちゃうけど、ツネヲがいなかったらギガントにできることはもっと減ってると思うので、被害ももっと小さかったと思う。どうしたら。

先生のタイミングの合わなさ本当に……悲しい……いないとき狙ってやってるから当然っちゃ当然なんだけど……「モンスター」で思わずギガント指しちゃうあたりは人間味を感じた。あんだけ頑張っててあれだったらそりゃね……

誰も悪くなくないけど一概に責めることもできないので苦行か?というぐらい辛かったけど折角生のパフォーマンスを見るならこれぐらい抉られたいよね!

振付がめっちゃ格好良くて情緒が行方不明。

 

M16:One more time, One more chance

イインチョがコックリさんに消えるくだり、振り切れた悲劇は喜劇理論で初見のときは爆笑だったんだけど、イインチョへの愛着が強くなるとどんどん辛いシーンになる。この笑ったらいいのか泣いたらいいのか分からない感じ、熱海殺人事件

モー子がさぁ……交換日記が破れたのはもちろんショックだったんだけど、イインチョがいなくなっちゃったということの方が圧倒的にショックだったし、むしろ後者に比べたら前者は全然大した事ではないというのがダンスと表情から凄い伝わってきて……イインチョのことこんなに大事に思っていたのにもう伝えられない……伝えたいことが伝えられた日々がどんなに大切なものか今なら分かる……

もう勝ち目が無いのに立ち向かっていくメガネーーーーー!!!!!やはり気高い。そして引き離されるポルポの顔が本当に悲しそうで辛い。

初見、たっつぁんの歌がフェードインしてきたとこで嬉しすぎて思わず胸の前で小さく拍手してしまった。『Shuttered Guy』で一番好きなナンバーはYAH YAH YAHです。

たっつぁん、私の背中も押してくれ。

 

M17:田園

ユタと不思議な仲間たち、開演。大好きなんですよこういうの。

櫻井さん役として歌うのめっちゃ上手くて一体何の人なの?となる。

モー子が最高に格好いい。世界で一番格好いい。覚悟が決まっている。

たっつぁんの「次」と「やれ」がツボに入ってしまってしんどい。声が良すぎる。

先生、たっつぁんからマイク渡されてそれで歌うのかと思ったらMYマイク持ってて笑った。髪型が変わってとかいうレベルではない。自分で自分を無邪気って言っちゃってて笑う。確かに無邪気。楢木さんが演じる役は格好いい系だと爽やか属性がめちゃくちゃ強化されて、かわいい系だと無邪気属性がめちゃくちゃ強化されるので絶対愛着わく。

先生の「そうだ!」がすっごいイキイキしてて。子どもが成長していく姿が本当に嬉しいんだなぁ。

たっつぁん「それでも!」先生「その手を!」「「離さないで」」のところ、めっちゃ熱い。

暴力はダメって言うし、実際自分も身体張って止めに行くけど、それでも止められなかった場合を想定している先生。そして喧嘩の仕方を教えられる近所の兄ちゃん概念のたっつぁん。色んな立場の色んな大人。いてくれてよかった。

 

M18:ギリ昭和

タコ滑り台に陣取るギガントたち、走り込んでくるメガネたち、無音の空間で放り投げられるランドセル、が落ちると同時に始まるイントロ、全てが格好いい。ユタです。

ババ抜きってこんなダサ格好良くできる?

ババ抜き終わって一回先生とたっつぁんがはけるとき肩を組んでいて青春だった。大人になっても仲間はできる。

もう引けないってヤケクソの表情のハチがとても辛い。

縄跳び苦手だったモー子が大縄に入ってくるの、ひっかかっちゃっても勇気を出したというその時点でもうめちゃくちゃ格好いい。お前の愛と勇気がハチを取り戻したんだ。

ツネヲーーーーーーーお前ポルポと先生に直してもらった超ハイスペックミニカーをここで使うの卑劣だなーーーーーーー。遠慮というものが無い。でも完全にメガネが勝つ風向きになっても寝返らずギガントに「ごめん」って言いにいくあたりが本当に……お前は……公式プロフィールと違うじゃん……
ピコピコハンマーとヘルメット出してきて暴力沙汰を阻止する先生、格好いい。そのあと結局ギガントが暴れちゃったのを身体張って止めに行くのも格好いい。自分の方からは絶対手を出さないのも格好いい。ノックアウトされて倒れるまで宝塚かってぐらい尺とってて笑う。

負けたギガント、全てを失った気持ちだっただろうけど、そこまで悲壮感が漂ってないというか、憑物が取れたようにも見える。どこかふっきれたんじゃないかな、自分が間違ってたというのを正面から突き付けられて。それを突き付けるためには、やっぱりメガネは一度は喧嘩で、ギガントの言語で勝つしかなくて、それは大人じゃできないことなんだよね。現実でどうするかはまた別問題として。これは奇跡の物語なので。

ギガントが行っちゃったあとにすっごい心配そうな顔してるツネヲ……お前……そういうとこだぞ……

先生はギガントのことちゃんと気にしてて先生だし、たっつぁんはメガネの勝利を全力で喜んでて良き近所の兄ちゃんでした。やっぱり色んな立場の色んな大人が全力で子どものことを考えてくれる環境って良いね。

 

M19:僕たちの失敗

梅棒で森田童子聞くと思わなかったのでまずその衝撃で爆笑。

トングをカンッて鳴らすタイミングが絶妙すぎてまた爆笑。

全然笑えるシチュエーションじゃないんだけど、やっぱりイインチョ関連は梅澤さんの破壊力で熱海殺人事件のような空間になる。切な悲しい笑える。静かなのに凄い熱量。

子どもたちがイインチョの様子のおかしさに怯えるなか、大人……子どもの目線で見えるものと、大人の目線で見えるもの、違うよね……戻ってきてよかった、どうしてたんだ、髪伸びたなぁ、ってそうなんだけど……そうなんだけど……先生って基本空気読んでたら仕事にならない部分が大きいと思うんですけど、炸裂しましたね。たっつぁんは良き近所の兄ちゃんだしメガネ勝利でハイになってるし仕方ない。そして結果的に子どもたちを守れたので偉い。その後出てこないけど、どこまで飛ばされたんだろうか……ポルポとちゃんとお別れさせてあげたかった……あと子どもたちの無事を確認させてあげたかった……のでそういう話を書こうとしている。

 

M20:星空のディスタンス

イントロ流れた瞬間テンションがやばい。緊迫感あるはずのラストバトルなのにもう楽しくて仕方ない。

真っ先にイインチョに向かっていくモー子に泣いてしまう。そしてはじき返されたモー子を庇うハチ、イケメンにも程がある。

ギガントが武器持って戻ってくるところ、つい拍手してしまう。頑張ったね。本当に頑張った。

メガネを守ろうとしてポルポの真の力が目覚めるとき、後ろの壁に投影される照明がパパがソースの力を使うと最初同じエフェクトなんですけど、そこから一段階スパークするじゃないですか。さすがオタフク族の中でも最も強い力を持つ王子。強い。

勇者になったメガネが登場するシーンの熱さよ。そこからの変身ラッシュがもうニチアサ最終回の変身シーンかってぐらいテンション上がる。壁の後ろでもずっと動いてる狐すごい。

飛び出してきてすっごい綺麗な蹴りを狐に入れるハチが格好良すぎるし、狐倒したあとにキリッとした顔で十字きるモー子がマジで格好良すぎるし、アイコンタクトとるところも格好すぎるし、なんなんだこの二人。強い。目の前でこのシーン見られて本当に良かった。2列5番。ありがとうございます。

イインチョのラスボス感がすごいのに、やっぱりすごく華奢で、小さな肩に背負ってしまったものが大きすぎて、より狂気を強く感じる。糸が切れたような倒れ方がすごい儚い。

 
M21:オレンジ

「片付けしなきゃ」って言い始めるのも、最初に謝るのがギガントなのも良い。お前よくそこまで気付いたよ。えらいよ。

なんだか分からないけどとりあえずみんなの真似してイインチョに謝るポルポのかわいさたるや。

思わず逃げ出しちゃうイインチョを引き止めるモー子。大事な友達、取り戻したね。本当に格好いい。二人で踊るところ、すっごい綺麗だった。

イインチョに謝られて先生の真似するビンボがかわいい。

ポルポと握手するイインチョのリアクションがかわいい。苦手なんだねああいうぬるっとした感じの。でも頑張るイインチョは本当に良い子。最終的に顔を撫でられまくってて笑った。

そしてその場を離れて見てるギガントと、それに気付いて友達になろうってするメガネがさぁ。そしてそれを見てるツネヲがさぁ。

これポルポの覚醒したソースの力を感知してパパとママが迎えに来れたんですかね。引きで見ると照明の効果が最大限発揮されてシルエットがめっちゃくちゃ美しいパパとママ。

ポルポとのお別れのシーン、みんな泣いてる中でハチが泣かないの、すごい気を遣ってますね。どこまでイケメンなんだお前は。

満を持してビンボの感情の栓が全開になる。よかった。

イインチョの表情も絶妙。出会ったばかりなのに、助けてもらったのに、もうお別れなんてっていう、他のみんなとは違う寂しさ。

メガネがギリギリで振り返ってポルポを呼んで、ポルポが駆け下りてきてハグするシーン、美しい。文字にしたらどこまでもありふれた定番のシーンをあそこまで美しく見せられるの、本当に凄い。

年頃の子どもなのに友達と遊べず、毎日修行ばかりだったポルポに友達ができたんだと知ってママが泣いてる姿を見て泣いてしまう。

お別れを言えないメガネを気にするハチ、「かえろ!」って言うハチ、どこまでイケメンなんだお前は。

 

M22:SHAKE

メガネの表情が最初と全然違うじゃん。元々弱い子じゃなかったけど、全然自己開示しない子だったじゃん。それがここまで明るい表情するようになったっていうのが、すごい成長だと思う。一歩踏み出すきっかけをくれたポルポ、それをものにできたメガネ、素晴らしい出会いだった。

ギガントは人を殴らなくなった。友達ができた。人を好きになるという気持ちに気付いた。家では相変わらずひどい扱いを受けてるんだろうけど、外からの影響と自分の気付きでここまで変われた。これを奇跡と呼ばずして何と呼ぶ。でもイインチョはまだギガントのこと好きじゃないと思う。正義感強いから放ってはおけないだろうけども。それは別のお話として。

そして令和2年。

先生、博士のハゲをいじるのやめなさい。

たっつぁんは屋台やめてお店持ってそうだし、先生は校長やってそうだし、大人も色々変わったというか、成長している。

ギガントとビンボがちゃんと仕事して生活しているというだけでもう泣きそう。しかもビンボ三つ星シェフてお前。本当によかった。

ツネヲも親の会社継がないで独立してる感じするし。

イインチョのキラキラ具合。よかった。イインチョがキラキラできる世界でよかった。

モー子とハチは結婚しなかったと思ってるんですけど、それはそれで尊いというか、あの二人は自分自身も自力で幸せにできるし、なんなら自分以外の人も幸せにできるだけの力を持った二人なので、一緒にならなくても大丈夫なんですよ。

メガネが安直に宇宙飛行士とかじゃなくて会社員になってたのもよかった。もうメガネはどこでも戦っていけるもんね。きっと彼の勇気と優しさと強さを必要とされる場で輝いてるんだ。

 

カテコ

壁に手かけて立ってる先生が急にイケメンで再度脳がバグる。

たっつぁんと先生でタコ滑り台の囲いを取り払うのがとてもエモい。OFF THE WALLだ。

ツネヲとハチとビンボが並んで腕上下に振る振付すごい好きだし、その後のギガントリサイタルのシーンも楽しい。

モー子におじぎ促すイインチョ……物凄い真顔で勢いよくおじぎするイインチョ……かわいい……後ろでわちゃわちゃしてる男子の小学生感が良い。

野田さんのスター感がすっごい。

最初と最後同じ曲、同じ振りだけど見え方が違って良い。一人そもそも見た目からして全然違いますけども。

梅棒のカテコってわりと役を残すじゃないですか。それが凄く好きで。一種のパラレルを見ている気持ちになれてとてもお得。

舞台袖から最後まで手を振ってるポルポがかわいい。地球に来てくれてありがとね。

ダブルトリプルカテコでギガントが作中一番じゃないかってぐらい楽しそうにしているのを見て嬉しくなりました。

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ピカイチ!(梅棒)

2017/7/13 18:50

【会場】Zeppブルーシアター六本木(六本木駅)

【すごい長い話】
※この記事では全て敬称を略させていただきます。

みなさん、梅棒って知ってますか。
知らない人は多分こんな記事読まないかとも思いますが、
もしかしているかもしれないので説明させてください。

梅棒とは
「ストーリー性の有る演劇的な世界観をジャズダンスとJ-POPで創り上げる、エンタテインメント集団。
「多くのお客様が感情移入し、共感、感動できるパフォーマンス」を信条に、「劇場型ダンスエンタテインメント」を提供」する団体です。
(公式HP引用:http://www.umebou.com/umebou)

とにかく、死ぬほど面白い団体です。死ぬほど。
そして、多分今一番勢いのある団体だと思ってます。
正にエンタメの最前線を走っているという言葉がぴったりです。
ずっと「いつか最低でも新感線規模にはなる」と言い続けています。

しかし、規模が大きくなるということは、基本的には変化することとイコールだと思ってました。

見たい人が増えればキャパも増える。
キャパが増えれば劇場のサイズが変わる。
そして劇場のサイズが変われば、やはり求められるものは変わってくる。
そういう物だろうと思ってました。

そして私は『GLOVER』を見たときに、それを物凄く感じました。
大規模な舞台装置、人間とロボットの争い・和解という大きなテーマ、美しい自己犠牲。
『風桶』を見たときに感じた「綺麗さ」が更に増強されたような感じ。
梅棒らしい暖かさや優しさ人間臭さバカバカしさももちろん残っていましたが、
それでも何となく「あ、商業に寄ったな」と。
作品としてのクオリティは最高だったと思いますし、号泣しました。
商業演劇が好きな私にとっては嬉しくもあり、
小劇場が好きな私にとっては少し寂しくもあり。
そうだよな、これがこの規模の劇場に求められるスケールだよなって、
そんなことを考えていました。

でもね、今回『ピカイチ!』を見て、
それは私の勘違いだったなって思いました。
必要に迫られて作風を変えたんじゃないんだ、って気付きました。

初見の時はびっくりしました。
まず三国志で先制攻撃をくらったというのは大いにあるのですが、
それにしても「あれ???予想してたのと全然違う?????」というのが正直な感想でした。
語弊があるかもしれませんが、なんというか、全然綺麗じゃない。
おもちゃ箱をひっくり返したように、とっちらかっている。
楽しかったのは楽しかったのですが、
あまりにも衝撃的過ぎて消化しきれなくて。
そして消化し切った頃「あ、この盛り沢山感を私は求めてたんじゃん」と気付いて、
元々は2枚しか持っていなかったチケットを3枚に増やしました。

高さのあるセット、客席降り、分かりやすい衣装のカラーリング。
作風を変えるのではなく、工夫によってキャパに作品を合わせる。
自分がどれだけ浅はかだったかを思い知らされました。
そして梅棒はどれだけ大きくなっても面白いものを見せてくれる。
そう改めて確信した公演でした。

以下、ただの覚書です。

・ぼよよんの音ハメに笑う
豪徳寺の顔芸がやばい
豪徳寺の足首がやばい
豪徳寺こんなに面白くて大丈夫か
・侯介の入試がしょうもなさすぎて可愛いし合格発表のときも可愛い
・惇が入学して野球やめちゃう→カテコで野球再開フラグで泣いた
・タバコ吸ってむせる惇と侯介のかわいさ
・惇と侯介の微妙な振りの違い、良い
・悪ぶっても基本爽やか笑顔の惇、良い
・教室に現れた超ベートーベンに机の上で土下座する惇、良い
・侯介と出雲君の仲直りのとき、超ベートーベンが無理やり握手させたところで100点満点の笑顔で二人と肩を組む惇、良い
・小春の面倒見てあげる鷹橋の姉御が格好よすぎて泣いた
・姉御、後半になるにつれてギャル度が上がっていく
・姉御はミーハーだけどミーハーを貫き通す男気がすごい
・小春ちゃん、見た目のかわいさと攻撃的なダンスのギャップ、良い
・小春ちゃんがかわいい
・惇は小春ちゃんを幸せにしてあげてほしい
・姉御は侯介の面倒を見てあげてほしい
曹魏が横一列に揃って踊るところの格好良さが圧倒的すぎてやばい
・まずいことが起きたときに「ごきげんだぜっ!」って言うと元気になれる

道玄坂の顔芸がやばい
豪徳寺の真似する道玄坂かわいい
・表情がくるくる変わる道玄坂かわいい
・出雲君はパーカー着てるしヘッドホンだしメッシュ入ってるしクール系不良っぽいのに友情に熱いし人目を盗んでピアノを弾くしどこの少女漫画から出てきたんだよ
豪徳寺が座った机の匂いを嗅ぐ出雲君どうした
・決戦で豪徳寺にお握り差し出して受け取ってもらえず落ち込む翼くんは世界で一番かわいい
・翼くんと忠次郎のペアで世界が平和になる
・孔雀丸はこの世に存在する諸葛孔明の二次創作の中で一番好き
・孔雀丸の歩き方がスタスタしててかわいい
・忠次郎「さよなら」か「ありがとう」って口パクしてた?一回しか見えなかったけど号泣
・忠次郎「後悔に襲われるよ」の表情がやばい
・教室にいる忠次郎がかわいい
・超ベートーベンはどう見てもギャグキャラなのにロングコートが似合いすぎるし格好よく見える遠藤さんマジックがすごい
・出雲君と超が学園で起きる事件を解決していく漫画がジャンプで連載されている気がする
・超が親指を立ててピアノの影に消えていくところで「あ~~~~~~~~~(´;ω;`)」って泣いた
・雲子さんのスリッパではたかれたときのリアルなリアクションがすごい
・雲子さんの動きが全体的に幼児みがあってかわいい
・雲子さんは笑うととてもかわいい
・最後個室に消えていくとき手を振り返さざるを得ない
・浅香さんの孫尚香みがやばい
・結局のところ浅香さんがヒーローなんだよ

・孫八君の表情は本当に上手からしか見えないけどとても良い顔してた
・孫八君のユニフォームの長さがおかしい
・孫八君は不器用だけど本当に良い奴なんだよ
・鼻をこするキャラの美周郎
ID野球の申し子なのに色仕掛けに引っ掛かるなどわりとアホな美周郎
蒙古斑先生に尻をパーンッ!って叩かれる美周郎
・黄太の右手の狐は勝手に校歌を歌う
・黄太の意思と関係なく動くからミギーとかなのかもしれない
ムーンウォークする不審者はKENZOさん?
・客席にも「ウルトラソウルッ!」をレクチャーしてくれる黄太は良い子
・野球部にいる先崎君を見ていると呂布に居場所が見つかったようで嬉しくて泣いてしまう
・カジュアルに裏切る先崎君の呂布感が大好きで何かやらかすたびに笑わざるを得ない
・何にしろ先崎君が美しすぎる
・総合的に見て孫呉が一番アホです

蒙古斑先生はずるい
・一色さん、ダンスの人じゃないのにどうなってんだ
・VS忠次郎の蒙古斑先生を見たとき、なぜか頭のなかにHUNTER×HUNTERが浮かんだ
・蝉時雨先生が本当に美しくて好き
・蝉時雨先生と先崎君のリフトどうなってんだ
・戦ってる蒙古斑先生と忠次郎の後ろでロッカーに頭を打ち付けて痛がっている蝉時雨先生に気付いて爆笑
・校長の指揮から感じるいつか見たサルの物真似み
・日々進化していくミニセグウェイ扱いがすごい
・いじめっ子に仕返ししにいく忠次郎のお母さんのズラが取れたのは演出なのかと思ってたら事故だったけど演出なのかと思うぐらいリカバリーが見事だった

・開演前アナウンスの早瀬さんがかわいい
・ナレーション(ザンさん?)の東北訛りがすごい完成度