記録

幻覚を記録する。

おしゃれ紳士×梅棒 presents『The Story seen from the balcony オシャレ紳士と梅棒のベランダカラミルセカイ』(dynamize)

【会場】あうるすぽっと

【上演時間】1時間50分

 

FGO feat.夢から醒めた夢 エヴァ風味みたいな。あと近年のおしゃれ紳士の「何者にもなれない側」へのフォーカスには幾原邦彦味も感じる。あと独白の演出の美しさも。

いまこのときに必要すぎる作品でした。

前回の『ソラノカナタノセカイ』はだいぶ文学的というか、メタな目線やSFな設定が物凄く美しくて、泥臭いかつ圧倒的な美で、西川さんマジで天才だなと思ったんですけど、今回のこれは本当にメッセージ性がバシバシで、でもメタがめちゃくちゃ効いてて言葉選びが美しくて、やっぱり西川さん天才だなと思いました。

 

下手の最前列で見てたんですけど、最後の問答の今人さんが凄くて。そんなものに意味はないと声を張るこいつの心の奥深くに、人間(演劇)を信じたいという気持ちが隠れているんじゃないかというのが見えて。世界への解釈が人間への愛を歪めてしまっているというか。遠藤周作の沈黙みたいなね。でもそこで人間を否定すればするほど信じたいという気持ちが強調されるという。辛かったんだなぁ。だから言葉が出るのを待ってたんだよなぁ。人類愛を持っているからこそビーストなんですよね。

 

そして人類代表の回答。井内さんの佇まいの優しさが既に沁みる。演劇の可能性を語るだけでなく「大体の人はみんなが幸せになれたらいいなと思ってる」という話までしたところが、まさに今この物語を世に出す必要があった理由だと思っていて。そうなんだよね。ほとんどの人は思ってるんですよ。みんなが幸せになれたらいいなって。こんな状況だと忘れがちだけど、そうなんだよ。言ってくれてありがとう。うしおととらの何の役をやりたかったのかめちゃくちゃ気になる。流かな。

 

今回一発勝負だったのであんまり細かい記憶がありませんが、カナリアの西川さんが凄い楽しそうにパフォーマンスしてるとか、やっぱりおしゃ梅での天野さんが世界で一番かわいいとか、ジャンヌをあのキャラに設定した人天才とか、菊地さんが最初から最後まで圧倒的に元気とか、遠山さんの仕込み杖会長がマジでヤクザ漫画に出てきそうとか、天然で雑に強い沖田総司がめちゃくちゃ良いとか、未確認飛行物体な少女の犬がまた見られて嬉しいとか、武蔵ちゃんがおっさん!?(普通そう)と思ってたらだんだん可愛く見えてくるしちょっとオリュンポスとか、名乗ってくれた三人以外が何のサーヴァントなのかさっぱり分からなくて夜も眠れないとか、井内さんがブルマだと最初からみんな知っている客席の空気とか、相変わらず情報量の多さが最高でした。

またおしゃ梅が見たい。だから絶対みんなで生き残りたい。演劇は観客がいなければ存在すらできないものだから。演劇にいつかは絶対に来ないから。

 

あとうしおととらを読んだことない方、読んでください。アニメはアマプラでも配信してるので、まずはそっちを見るのもおすすめです。