記録

幻覚を記録する。

乱鶯(劇団☆新感線)

乱鶯(劇団☆新感線)
3/6(日)11:30

※意見には個人差があります

・全くビターではない
そう感じたのは、全ての登場人物が全力で生きてたから。町人っていいなぁ。商売人っていいなぁ。絶対悪を人間らしく描くのって難しいと思ってるんですが、欲を絡ませれば生き生きと描けるんだなと。怒りや悲しみを感じることはあっても、もやもやを感じることはなかった。時代背景もあり、全力で生きた結果なら死も受け入れられると感じた。戦い続けるって格好いい。コメディシーンも嫌みがなくて安心して笑える。今までの新感線に比べると、むしろファミリー向けでは。

・立回りが面白い
やっぱり照明がすごい。とんでもない。あんなオペどうやったらできるんだ。血糊もすごい。でも血が苦手なので冒頭は思わず眉間にしわが寄ってしまった。勝之助の太刀筋がめちゃくちゃな殺陣、めちゃくちゃだからこそ動きが読めない感が出ていて凄かった。


【以下、とてもネタバレ】


十三郎が死ぬことを覚悟してたのに勝之助が死んだのが本当に悲しかった。勝之助の生き方は羨ましい。とても素敵。だからとても悲しかった。でも郎党を皆殺しにしたのは勝之助ってことになってたのは嬉しかったし、小橋様の言葉に救われた。
十三郎がこのまま済むわけないと思ってたら、あのラスト。お客さんに投げる形だったけど、私は「死ぬだろうな」と。生きてほしいと強く祈ってるのに、「死ぬだろうな」という考えがどうも頭を離れない。生きてくれー。


【以下、とても個人的な話】


何度も何度も動画を繰り返し見た『熱海殺人事件 モンテカルロ・イリュージョン』。一番好きなキャラクターは速水健作だった。あの優しさとまっすぐさ。今回、山本亨さんが良い役どころで出るということで、とても楽しみにしていた。こういうことを言って、役者さんにとって嬉しいのか嬉しくないのかは分からないけど、なぜか小橋様が成長した速水に少し重なって見えた。山本さんが元々持っている優しさなんだろうか。「ご立派になられましたなぁ」と言いたくなるような、そんな感じ。今度はちゃんと救えたんだなぁ。

OMG(梅棒)

1/16(土) 、1/20(水)、1/22(金)、1/30(土)

新年一発目の観劇。

元々3公演分チケットを取っていたのですが、結局4回見ました。

「クオリティが高い」とか「泣ける」とか、そういう舞台っていっぱいあるけど、そういうのを超えて、例えばどこか気になるポイントがあったとしても、「楽しかった」という気持ちが全てを押し流してしまうような舞台というのが私は好きです。

OMGは正にそういう舞台だったと思います。

前説~フリースローで舞台と客席が一体となり、そのまま息もつけないような勢いで一気に駆け抜け、最後の『Ode to Joy』で最高にハッピーになれる。

カオスだけど、カタルシスがある。

こんなに本気で楽しいと思える舞台は久しぶりでした。

 

以下、役/出演者ごとのメモを。

※当パン掲載順、敬称略

 

ジョン・ストックホルム / 鶴野輝一

フリースローチャレンジで登場した時点でぐっと心を掴まれました。やついさんがアフタートークでおっしゃってましたが、やってることをよくよく考えたら確かにダメ男。でも本編中はついつい応援してしまう。すさまじいキラッキラの主人公オーラでした。

 

マイケル・モーガン / 楢木和也

『LIFE』で見せる切ない表情と力強いダンスに感動。マイケル、いい奴だなぁ……『Bad Day』~『終わりなき夜』の流れも良い。しかし一番印象に残ってるのは、『紅』での真顔です。置いていかれてる感があまりにもリアル。そしてなんだかだ言って乗せられるところが本当にいい奴。最高でした。また体を張る楢木さんが見たい。

 

ラリー・フォード / 天野一輝

ラリーのザ・メガネキャラ感、とても好きでした。『LIFE』で走り出す時のやるせない表情に涙。感情を爆発させるようなキャラじゃないからこそ、滲み出てくるものが心にしみました。あと、鬼。閻魔様をはたいて捌けさせる時の容赦のなさ、笑いました。

 

カール・ファローン / たかりん

とにかく隙が無い。初日に見た時あまりにも隙が無くて、2回目どこかに隙があるんじゃないかと必死に探しましたが、やっぱりありませんでした。ただ素敵なだけでした。指の先まで完全にカール。一つ一つの動きが完璧で、群舞中も目が離せない。ギャングを足止めする時のソロが可愛くて格好良くて最高。バスケ部の中で一番ダンスが好みでした。ラリーとお幸せに。

 

ダコタ・サニング / Sun!!

『Live While We’re Young』で、部員一人一人とアイコンタクトをとる姿になぜか涙が出ました。笑顔も踊り方も元気いっぱいで可愛い。プレゼントが上手くいかずショックを受けてゴリラみたいな歩き方してても可愛い。天使の時の歌声も可愛い。二次元から出てきたという表現がぴったりの美少女。

 

スカーフェイス” / 遠山晶司

最初に振り向いた時のインパクトが半端ない。格好いいのになぜか笑える。今回もエネルギッシュなダンスが印象的でした。でも何よりも印象に残ったのは『紅』の殺陣。完全にコメディシーンなのに殺陣が早い。長物の扱い方がめちゃくちゃ格好いい。だから逆に笑ってしまう。次回公演でもぜひ殺陣を。

 

“The Enforcer”・ナッティ / 飯野高拓

クマに走り寄る時とダコタちゃんに恋しちゃった時の笑顔があまりにも良すぎてそれ以外書けません。本当に、良すぎました。あんなに幸せそうな笑顔を見たことがない。いくらでもクマをあげたい。ダイナミックシートで見てみたかった。

 

“Machine gun”・マクレーン / 五十嵐結也

『Driver’s High』から徐々に愛着が湧き、最終的には舞台上にいるだけで何だか楽しい気分になりました。でも踊るとめちゃくちゃ格好いい。その場をホームに変える力が半端ないと思いました。閻魔様の一挙一動にあんなに拍手が起きるのは、五十嵐さんだからこそだなと。

 

アシュトン・タッチャー / 櫻井竜彦

イロモノだらけの登場人物の中で、びっくりするほど真っ直ぐ。アシュトンを櫻井さんが演じていたからこそ、OMGに一本芯が通ったのではないかと思います。今まで失敗ばっかりだったアシュトンが、最後ばしっとゴールを決めた後に見せる笑顔がめちゃくちゃ良かった。

 

ハナエ・グレース・モリッツ / 田中英恵

アメリカンセクシー美女の押し売りという感じ、大好きです。立ってるだけで面白い。『I want it that way』で階段上るところとか最高に面白い。「Yeah~」の最高に良い笑顔も面白い。『セロリ』のパリピっぷりも面白いしロバートにキレる姿も面白い。しかし、ずっとアニメ的なテンションで行くわけでは無く、ストーリーが進んでいくにつれてドラマが見えてくる。ギャップが素敵。

 

ロバート・イ・ヨーピ / IYO-P

出てきた瞬間、なんだこの格好いい人は!と思いました。電話を取るだけで格好いい。「そのうち裏切りますよ」感丸出しのひょこひょこした適当な捌け方も格好いい。そして何よりもダンスがめちゃくちゃ格好いい。『FAINT』のソロパート、心の中でめちゃくちゃ拍手してました。あとTAROのチケットを取りました。

 

ルーシー・リョー / 池田遼

回を重ねるごとに女性らしさがどんどん増して、30日にはもう女性にしか見えませんでした。動きがめちゃくちゃ柔らかくて綺麗だし表情がめちゃくちゃ可愛い。そして殺陣はどんどんキレがよくなる。『Into Free -Dangan』の蹴りが美しかった。

 

デロリス・ザン・カルティエ / ザンヨウコ

間の取り方が面白すぎる。台詞ないのに台詞が聞こえました。ドラマががっつり見えるからこそ逆に笑ってしまう。すごい。そして衝撃的な黒塗りメイクに対して恐ろしいほど素直で澄んだ歌声。歌謡ショー的な歌い方をしても、変な癖がないから聞きやすい。嫌味にならない。デロリスの優しさが伝わりました。

 

キャシー・ナオミー / 小板奈央美

この毒は一体何だろう。とにかく強烈に美しい。目が離せない。ダンスも顔もスタイルも美しいと思って見てたら歌声も美しくて度肝抜かれました。『Bad Day』で最初にデロリスが倒れた時、いつも強気なキャシーが不安を隠すことができない様子に泣けました。あと顔芸。すごい。

 

ウェンディ・チェリー / 早瀬さくら

『Bad Day』 の時、一生懸命笑ってる姿がとても印象的でした。デロリスのためにも私が笑ってなきゃって思っているように見えて、切なかった。なのに。『紅』での爆発っぷり。回りがあれだけ暴れてるのになぜか一番暴れていた印象が。キャシーが洗濯バサミの紐をもったいつけながら少しずつひっぱってたのに横からブチっといくのが本当に好きでした。ずるい。

 

ダニエル・ヒロムストーン / 工藤広夢

とんでもない化け物が出てきちゃったなと思いました。あのエネルギー量であのクオリティ。すごい。2回目に見た時は歌の時の発音にちょっと変な癖があるなと思ってましたが、3回目には完璧に直ってて、やっぱりただの化け物だったなと思いました。本家10回ぐらい見てるけど、30日の『終わりなき夜』が一番泣けた。

 

ヒコティック・ヒコノヒー / ひこひこ

初日の客入れパフォーマンスが始まったとき、「客演さん一人で放り出すの!?」とびっくりしたのですが、全くもって無駄なびっくりでした。客席との距離の詰め方の上手さたるや。フリースローが全然決まらず客席の空気が怪しくなってきた時、あそこまで完璧に立て直したのは感動。あと『紅』の最後、吸い込まれるマイムが圧倒的にプロで面白かったです。

 

裏方さん表方さんを含めて、良い座組なんだろうなというのが見ているだけで伝わってきました。 うーん。もう一回見たい。こんなに短い期間でこんなに同じ作品を見たのは初めてでしたが、それでももう一回見たい。新年早々こんなに楽しい作品に出合えるとは。10月のグローブ座は同僚とかういっぱい連れていきたいと思いました。

2015年まとめ

※劇場で見たもの

 

1.劇団四季FESTIVAL~扉の向こうへ~(劇団四季)

これは結局ソンダンシリーズなのだろうか。サーカスで死ぬほど笑った。客いじり好きです。味方さんのアンダー・ザ・シーも楽しかった。セバスチャンやってみてほしい。DGで泣きWICをまた見たくなる。ヴォルツオブヘブンがやっぱり好き。

 

2.クレイジー・フォー・ユー劇団四季

中学生ぶり?ぐらい?最高にハッピーなミュージカルの名は伊達じゃない。ガーシュウィンの曲も最高。ストローマンの振り付けも最高。酒場の銃撃シーンは完全に忘れてたのでびびった。今も昔もパッツィーとピートが好き。テスも好き。ポリーこわい。オチがいい。

 

3.TOKYOHEAD〜トウキョウヘッド〜 (ヨーロッパ企画

格ゲーマー達の実話を基にした芝居。中学時代は音ゲーのためにゲーセンに入り浸っており、大学時代は格ゲーマーの彼氏の付き添いでゲーセンに入り浸っていたので、「こういう奴いるいるwwwwwww」の嵐。大画面で実際に役者が格ゲーやるが面白い。すごい発想。うらやましい。ノンスタ石田さんが芝居をやるとは知らなかったので、最後までノンスタ石田さんだと気づかず。似てる人だなと思ってた。役者さんのバランスがよかった。とにかく笑った。

 

4.ジーザス・クライスト=スーパースター(劇団四季)

相変わらず神永さんのジーザスは美しい。しかし、今までよりも静かな王度合は低めだった気がする。わりと分かりやすい可哀相な若者になってた気がする。ひたすらに自分のことでいっぱいいっぱいで耐えつつも時々イライラを爆発させてしまう前回のジーザスの方が私は共感できた。観月マリアは相変わらず美しく、山本マリアは可愛かった。芝ユダと佐久間シモンが爆発してた。高井カヤパもちょっと爆発してた気がする。安定の司祭s。 北澤ヘロデ怖すぎ。

 

5.アラジン(劇団四季)

照明と振り付けが最高。あと追加曲が全体的に元の曲より好き。あまりの劇団四季っぽくなさに驚いた。これは役者が慣れれば慣れるほど面白くなりそうな予感。ミュージカル興味なかった人もこれなら連れていける感ある。悪友三人組がいい。一番好きなシーンはハイアドベンチャー。小劇場かよ。

 

6.クロス ジンジャー ハリケーン(梅棒)

梅さんのしなやかさ、プライスレス。大学からダンスを始めたとは思えない。少女漫画のような甘酸っぱさと、少年漫画のようなアホっぽさが同居した奇跡の演目。内輪感の無い学園祭って感じで楽しかった。愛があれば大丈夫、やっぱりいい。

 

7.人間になりたがった猫(劇団四季

なぜか見るタイミングを逃し続けていた本作。ニコ動で10回以上は見た。DVDも買ったけど、ニコ動のキャストさんがいいんだ。今回は分部さんもデビューということで、わっくわくで市川へ。翌日も仕事なのに。いや、よかった。完成度が高いというよりは、とにかく真っすぐで、羽のように軽くて、素敵なライオネルだった。五所さんのジリアンも人形のように可愛かった。そしてやっぱり私の目標は、タドベリ先生のような大人になること。

 

8.PIPPIN(キョードー東京)

シュワルツの曲聞きたさに参戦。自分探しというテーマはノットフォーミーなんだけど、とにかく格好良かったしクライマックスでは泣いた。キャサリンを選んでくれてありがとう。モーニング・グロウが好き。あんな壮大な曲を何も成し遂げてない場面で歌うという演出に鳥肌が立った。

 

9.サウンド・オブ・ミュージック(劇団四季)

前見たより10倍ぐらい面白かった。 笑えるはずの場面でちゃんと笑えた。平田さんのマリアが少年のような声とショートヘアーが相まってチャーミング。 深水さんのトラップ大佐も優しそうでよかった。ときめいた。年取ったからかもしれない。

 

10.両国コメディーナイト(にじゅうまる企画)

こういったイベントは初参戦。細かい感想はこちら。

 

11.李香蘭(浅利演出事務所)

大学の時にDVDで見て、「苦手だな」と思った。政治的主張や、「何が正しいことなのか」ということにばかり考えが行ってしまい、まともに見ることができなかった。でも、生で見てみたら全く違った。舞台って「何が正しいことなのか」を考える場所じゃない。それを超えた一人ひとりの気持ちを感じる場所だと思う。それがきちんと伝わってきた。野村さん、声は出なくなってきてるけれど、とても美しい何も知らないお嬢さんだった。

 

12.戦争で死ねなかったお父さんのために(北区AKTシアター)

みなさんいい声。そしてやはりつかさんの書く人間は可愛い。初期作品ゆえの粗削りっぷりがいい。でも女性が出てくる脚本の方が好きかな。最後の台詞が突き刺さった。なぜか上海が流れ、モンテカルロを思い出す。

 

13.エルコスの祈り(劇団四季

美術がすごい。自由劇場に奥行を感じた。出だしの子ども達がユートピア学園に送られた理由を語るところから最後まで割と泣いてた。最後エルコスが名言botみたいになるのが若干気になるけど泣く。あれだけ人間みたいなのに、最後消えるときになって自分は機械だから大丈夫って言うのが切ない。川島セールスマン、営業の鑑って感じ。

 

14.熱海殺人事件ホリプロ

ぼーっとしてたら前売りを逃した。泣く泣く千秋楽の当日券に並ぶ。先着順にくじを引き、13番までは順番に券が買えるとのこと。えいやっと引いたらまさかの1番。6列目センターブロックを購入。実は今までオリジナル版よりもモンテカルロや売春捜査官の方が好きだったのだが、これを見てやっと分かった。切ない。あの卑屈になってしまう感じも、卑屈な奴にイライラする感じも、身に覚えがある。私は「あの頃」を知らないけれど、「あの頃」を感じた。

 

15.RE-INCARNATION ~RE-SOLVE ~ ( Office ENDLESS )

初リンカネ参戦。殺陣メインと聞いていたけど、とても骨太で素晴らしい三国志でした。伏線がお見事。「うわ!そこに繋がるんだ!」の連続で、しかもそれがただのびっくり設定じゃなくてドラマになってる。三国志の世界をしっかりと使いこなしたうえで、ここまで自由に動かすことができているのは、本当にすごい。すごいよこれ。凱旋公演あるから、三国志好きな方は見に行ったらいいと思います。

 

2015年は15演目でした。

面白い作品ばっかりで楽しい年でした。